きたない心をキミにあげる。
形見(B)







お母さんと本当のお父さんが離婚したのは、小学3年生の頃。



それまで専業主婦だったお母さんは仕事を始め、

私は家に帰るといつも一人ぼっちになった。



時々、不安でたまらなくなる瞬間があった。



お父さんがいなくなってしまったように、お母さんもどこか遠いところに行って二度と戻ってこなくなるのかな、って。


お母さんが私を育てるために、仕事を頑張っていることは分かっている。


私も料理だってできるし、掃除だってできるし、家で一人でいても何ら問題ないのは分かっている。



でも、ずっと寂しかった。



中学生になった頃から、家に帰るのが嫌になった。


夜遅くまで一緒にいれるような友達を作った。

同じような境遇の男子を彼氏にして、一夜をともにすることもあった。


お母さんは毎日仕事で疲れていて、そんな私を怒る気力すらなかった。



だから、新しい家族ができると聞いた時、ワクワクした。



お父さんとお兄ちゃんができる。


2人ともどんな人なんだろう。

家族が増えるってどんな感じなんだろう。

私はどんな風に接したらいいんだろう。



不安はあった。でも、期待の方が強かった。


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