眼鏡とハンバーグと指環と制服と
第九章嬉しそうな顔、してるから
毎年クリスマスは。

近藤家に集まって、だったんだけど。

今年は勇にぃはやっぱり、香代子さんと過ごしたいし、うちは夫婦水入らずが
よかろうと変な気を回され、それぞれで過ごすことになった。

……あ。
近藤のおじさんとおばさんには、結婚したことはいってない。
ただ、いままでの兄妹のような関係から、恋人同士になったことだけ伝えて
る。


「いいよな、夕葵は。
クリスマスに一緒に過ごす相手がいて」

「それをいうなら亜紀だって。
なんか女の子から誘われてたじゃない。
私なんかぼっちよ」

「……あいつらに付き合うと、疲れるから嫌なんだ。
というか夕葵どうした?
なんか浮かない顔して」

お弁当食べながらふたりはぐちぐちいってるけど。
私にだって悩みはある。

「あの、さ。
……クリスマス、一緒に遊ばない?」

「はぁっ?なにいってんの!?
今年は月原とふたりで過ごすんじゃないの?」
< 171 / 613 >

この作品をシェア

pagetop