眼鏡とハンバーグと指環と制服と
第十五章不安そうに震えていた
「いってきます」

「いってらっしゃい」

いつものように、夏生は私のおでこにチューすると、出勤した。

……季節はすでに春。
いまは春休みの最中だ。

夏生が出て行くと、私も鞄を持って準備する。

「塾には行かない」。

そう宣言していたものの、春休みのあいだは集中講座に通ってる。

三学期の成績、夏生の脅し(?)があったからか、ちゃんと挽回できて、まあ
まあのとこまでいった。
それでもやっぱり数学は低空飛行で危ないので、塾に通うことになった。

まあそれも、春休みのみで、しかも昼間だけだから、家事にさほど影響はな
い。

夏生は私の、どうしても家事がしたいという要求をのんでくれた。

「そろそろ出るかな」

時間を確認した私の手首には腕時計。
夏生からのホワイトデーのお返しだ。

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