眼鏡とハンバーグと指環と制服と
第十九章深い深い眠りへと落ちていった
連休が終わると、五月はあっという間に憂鬱な月にへと様変わりする。

……誕生日が、やってくる。


五月二十一日は私の誕生日だ。

……同時に。

両親の命日でもある。

私の五歳の誕生日だったその日、ケーキを取りに行った両親はその帰り、私の
目の前で事故に遭って命を落とした……らしい。

らしい、というは私は全く覚えてないから。
全部、夏生とおばあちゃんから聞いたことだ。

お葬式のあと、夏生の腕の中で泣きじゃくった私はそのまま熱を出し、元気に
なったときには事故の記憶ごと、両親のことを忘れていたそうだ。

でも、事故のことは非常にショックだったらしく、毎年この時期になると体調
が悪くなる。

ひたすらだるくて眠くて、そして極端な淋しがり屋になってしまう。

だから、私は自分の誕生日が嫌い。
大っ嫌い——。


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