嘘つき天使へ、愛をこめて

離れたくない




雅たちが帰ってきたのは、明け方だった。

あたしは泣き疲れていつの間にか寝ていたらしく、大翔に揺すり起こされて目を覚ました。


寝る前よりも頭痛は和らいでいて、あたしはなんとか起き上がり、大翔とともにリビングへと降りる。


「まだ痛むか?」

「……大丈夫。これくらいなら」


扉を開けると、皆が一斉にこちらを向いた。


あたしは思わず息を呑む。


傷だらけだ。

みんな、どこかしらから血が出ている。


いったいこの一晩でどんな抗争をしてきたのだと、あたしは何も言えずに立ち尽くした。


「……サリ」

「っ……雅」


雅が定位置の一人用ソファから立ち上がり、こちらへ歩いてくる。


あの雅でさえも、口元が切れて腫れていた。

とても痛々しくて、あたしは戸惑う。


雅はあたしの目の前で立ち止まると、後ろにいる大翔を気にする様子もなく、あたしの顔へ手を添えた。


どきん、と心臓が音をたてる。
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