縁側で恋を始めましょう
1・


「紗希はどうやって殺されたい?」

夏の爽やかな朝。

朝食の席で目の前の男は真剣にそう話しかけてきた。
唐突にそう聞かれ、私は飲みかけていた味噌汁を軽く吹き出す。
慌ててティッシュで口元をぬぐった。
あぁ、よかった。飛沫は大して飛んでいないようだ。
先日購入したばかりのスカートもブラウスも無事だ。
これから出勤なのに、汚さなくてよかったとホッとする。

しかし、と顔を上げる。
こいつは朝からなんてことを聞くんだ。

私はじっとりした目で、物騒な発言をした男を見つめた。
男は私の反応など気にも留めずに、端正な顔をこちらに向けて、質問の返事をただ待っている。

思わずため息が漏れた。

「死にたくないんだけど」
「それは無理だ。死ぬことは決まっている」

重要なのは殺され方なんだ、と顔をゆがめてサラサラの黒髪を片手でワシワシとかき乱した。
ぐしゃぐしゃになった前髪の一部がピュンと跳ね、なんとも可愛らしい。


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