くちづけ~年上店長の甘い誘惑~
プロローグ
何でこんなことになっているんだっけ?

後ろは壁、目の前には端正な顔をした彼がいた。

「僕を覚えていない、と言うことですか?」

訳がわからなくて戸惑っていたら、形のいい唇が動いて音を発した。

「お、覚えていないも何も…」

そもそもあなたと会ったこと自体が今日が初めてだと言うのに…。

「あの夜を忘れたと、あなたはそう言いたいのですか?」

一体、この人は何の話をしているのだろうか?

「僕の質問にはっきりと答えたらどうなのですか?」

彼の骨張った指が私のあごに触れて、クイッと顔をあげられた。

私との間の距離を縮めるように、端正な彼の顔がゆっくりと近づいてきた。
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