プルシアンブルー“俺が守る”
毒蛇の口
「課長。沖鰉森檎(ナカガイ シンゴ)容疑を認めました。」


「おお、落ちたか。結構かかったな。」


「その間に色々判明しましたけど。」



外科医の沖鰉森檎は、フリーライターの瞬綽樵(シバタ ユショウ)を青酸カリで毒殺した。



「動機は、医療ミスをネタにゆすられたことでした。」



複数回に渡り金を要求された為、札を数える時に舐める癖を利用し封筒に青酸カリを塗り殺害後、薬瓶を転がし見せ掛けた自殺。


封筒や指に付いた青酸カリを、毒性を無効にする解毒剤…、医者が使用する消毒液の色を落とす漂白剤であるが、無色無臭のチオ硫酸ナトリウムに常温でも反応する様にロダネーゼを混入させ、その痕跡を消し去るという用意周到さには計画性が窺えた。



「その証拠隠滅も上手くいかなかったようだな。」


「はい。鑑識が青酸カリの拭き残しと僅かですが沖鰉森檎の指紋を発見し、二人が会って金銭のやり取りをしているところも、偶然自損事故を起こした車の車載カメラに映っていました。」



状況証拠に加え物的証拠も突き付けられ、隠し通すことは出来ないと悟ったようだ。


その知力を何故証拠隠滅などに使うのか、理解に苦しむ。
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