Drinking Dance
手の距離が近ければ近いほどに…
「えっ、『狼谷財閥』の御曹司が3階の銀行にきたんですか!?」

たまご焼きを口に入れた星崎さんに、
「みたいですよ」

私は先ほどファミリーマートで買ってきたおにぎりを開けた。

オフィスの隅にある休憩スペースで、私と星崎さんは一緒にお昼ご飯を食べていた。

「『狼谷財閥』の御曹司が何をしに銀行へ…?」

星崎さんは不思議で仕方がないと言うように呟いた。

「何でも、そこで働いている天都まやさんに会いにきたみたいで…。

天都まやさんって知ってますか?

窓口担当で、背の高い美人さんなんですけども」

おにぎりを食べながら話をしている私に、
「ええ、知ってます。

この前お金を卸しに訪れた時に、彼女にお世話になりました」

星崎さんが答えた。
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