all Reset 【完全版】
第二章 記念日、四月二十七日

 友達記念日




取り出したスマホには『佐伯 良平』の文字。


「はーい…もしもし?」


『おう、オレオレ』



オレオレって……。



良ちゃんの軽い口調で、考え込んでいた頭はすっかり空になる。


「なに、またイタ電?」


この前の意味不明な電話を思い出してそう言ってみた。


そういえば……あの電話はほんとに何だったわけ?



『はぁ? イタ電なんかするわけねーし』



はー? この前したじゃん……。


意味不明電話。



強気に言われムッとくる。


「じゃあアレか、一世風靡したオレオレ詐欺」


『ってかさぁ、イタ電でも詐欺でもねーし!』


一瞬言葉を詰まらせたみたいだけど、良ちゃんは負けじと言い返してくる。



今日はなかなか手強い、かも。



「一度あることは二度あるって言うじゃん?」


『それ言うなら、二度あることは三度ある。だろ? 間違ってるし』



うっわー、むかつく……。



「あっそ、じゃあ三度目のイタ電もあるってことか。良平の番号、着拒しよっかな」


『……あのなぁ、何なんだよいきなり』


「はいはい、で? 何の用なの? っていうか、いま何してんの?」


うだうだ続くきりのなさそうな会話に話題を変える。


電話の向こうは全く音が無かった。



『え、いま秀んちだけど』



――ドキッ…。



そう言われて、わたしの心臓はビクンと跳ね上がる。


良ちゃんをからかって忘れていた、秀のことが蘇った。


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