みんなみたいに上手に生きられない君へ
よく考えたら、とんでもなく恥ずかしいことを言ってしまったかもしれない。

でも、嫌だった、とか言うのも失礼だし、実際嫌じゃなかったし......。

何て答えれば正解だったの?



「......俺も。離したくないって思った」



返事が返ってこないことに、パニックになっていると、ようやく返ってきた和也くんの返事は、いつもよりもなぜか真剣な声で。

よけいにパニックになる。

それは、どういう意味で?



「え、そ......」

「変なこと聞いてごめん、そろそろ切るな。
......また明日、おやすみ」



明日って学校ないから会わないよね?

色々分からないことばっかりだったけど、やっぱりおやすみって言った和也くんの声がやけに優しくて。

なんだか顔が熱くなる。


それからも、和也くんはほとんど毎日のように、夜に電話をしてくれた。

今日は部活でこんなことがあった、とか、内容はそんなたわいもないことだけど、ほぼ毎日。
 

和也くん、私がちょっとおかしいこと気にしてないのかな。

変わらず友達でいてくれて嬉しいと思うと同時に、毎日のように電話をくれる和也くんにほんのすこしだけ変な期待をしてしまいそうになる。

自分は和也くんにとって、もしかしたら特別なんじゃないかって。
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