みんなみたいに上手に生きられない君へ
心臓バクバクして、自分の体じゃないみたい。

震える手で手紙を差し出すけど、和也くんはなかなか受け取ろうとしないうえに、ようやく受け取ったかと思えば、硬い表情でそれをただじっと見ている。

......迷惑、だったかな。



「......手紙じゃなきゃ、言えないことなの?
言いたいことがあるなら、直接言ってほしい」



......突き返されてしまった。

そんなにキツイ言い方ではなかったけど、困ったような表情の和也くんに、みるみる自分の気持ちがしぼんでいくのを感じる。


でも、......告白するって決めたんだ。
まだ断られたわけじゃない。

和也くんなら、きっと大丈夫。
私の普通じゃないところを知っても、ひかなかった和也くんなら。

フラれたとしても、友だちではいられるはず。



「ご、ごめんね、......分かった。
じゃあ言うね。

......和也くんのことが、......好きです。
もし、よかったら、......付き合ってください」



自分でも情けなくなるくらいに、小さな声。

もっと言いたいことはたくさんあったのに。
和也くんの好きなところとか、それから最初は憧れだったけど、いつのまにかそれだけじゃなくなったこととか。


......だけど、ちゃんと言えた。

理想の告白とは違ったけど、それでも言えた。


< 162 / 207 >

この作品をシェア

pagetop