みんなみたいに上手に生きられない君へ
私の微妙な表情を見てか、和也くんも苦笑いする。

和也くんの方が、私よりずっと複雑に思ってるよね。



「これからはできることがあったら協力するって言ってくれたよ。それと、週に最低でも一回、専門の先生に見てもらえることになった」

「そうなんだ!よかったね」 

「せっかく付き合うことになったのに、部活もあるし、あんまり遊ぶ時間なくなるけど、ごめんな」

「ううん、気にしないでね。
大事なことだもん」
 


専門の先生とどういうことするのか分からないけど、和也くんが少しでも勉強しやすくなって、苦痛が減るなら、素直に嬉しい。



「......うん。
みんなと一緒に卒業したいし、がんばるよ。
月子からもらった手紙も読めるようになりたいし」

「わ、私の手紙は大したこと書いてないし、読まなくていいよ。むしろ、捨てていいよ」



優しい笑顔の和也くんになんだか恥ずかしくなってしまって、そんなことを言ってしまう。

昨日、持って帰るつもりだった手紙は、和也くんがほしいと言ったので、彼に渡したんだ。

読めなくても、持っておきたいからって。   

それは嬉しかったけど、改めて読まれると思うと、やっぱり恥ずかしい。
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