「ううん……何でもない。ヴァルありがとう。私は大丈夫だよ。」

リュイは笑って見せた。

「ところでヴァル、お腹空いたでしょう?一緒に食べようと思って食事を用意したんだ。」

「ぺこぺこです。今朝から何も食べていなかったので。」

照れながら頭を掻くヴァルは、二つ返事で快く申し出を受け入れた。

「私もだよ。早く食べよう。」

ダイニンクテーブルに運ばれてきた美味しそうな食事を前にして、ヴァルは目を輝かせた。

「本当に主は命の恩人です。」

「命の恩人は言い過ぎだよ。こんな簡単な物しか用意出来なくてごめんね。」

神に祈りを捧げてから、二人は食事を始めた。スープを口に運んだヴァルは叫びにも近い声を出す。

「美味しいです主!生き返りました!身体中に染み渡っていきます!」

「もう、さっきから大袈裟だって……。」

照れながらもスープを一口すすり、リュイは遠慮がちにチラリとヴァルを見る。

余程空腹だったのだろう。右手にスプーン、左手にパンを持ち、子供のような行儀の悪さで目の前の料理を口に運んでいた。それなのに不思議と品があり、しかも優雅にさえ見える。
 
これを中断させるのは忍びないが、リュイは倒れていた理由を聞こうと、静かに決意を固めた。あの状況から察するにヴァルが相当窮地に追い込まれていたのは明白だ。穏やかな食事の時間を壊したくはないが、やっぱり聞きたい。