僕は何度でも、君の名前を呼ぶよ。
*5*

記憶×名前



セレンは、なんとも言いがたい表情で俺を見つめる。


「大切な人がいることすらも忘れちまうって言うのは、悲しいことだね」


すらりとした腕に、抱き寄せられる。
ああ、まるで母親のように。


「大丈夫」


大丈夫って…なにが大丈夫なんだよ。

…俺はもう…。


「見てごらん」

「……」


セレンの指は、Iを指していた。

Iは、フレアとネリスがじゃれているのをそばで見守っている。


「あの子に、翼が生えているだろう?」

「…見える」


綺麗だ。
今にも、羽ばたきそうな…まるで、天使のような。

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