ハルとオオカミ

「堂々と前向いてろよ」



あれから一週間が経った。


その間、テストが返ってきて五十嵐くんの順位が五十番くらい上がったり、体育祭練習があったり、一緒に放課後帰ったりした。ちなみに私はいつも通り一位でした。


そして迎えた六月初旬。体育祭の日がやってきた。



「はるーっ! おはよー!」



今日も元気なアキちゃんの声で一日がはじまる。なんだか今日のアキちゃんは、いつにも増して明るい気がする。


「おはようアキちゃん。なんかテンション高いね」

「そりゃ高くなるでしょ~! だって体育祭だよ、祭りだよ! 声出して盛り上がる祭りだよ! それってつまりはフェスじゃん? 夏フェスの準備運動みたいなもんじゃん?」

「準備運動……?」


アキちゃんにとって六月の体育祭は七月の音楽フェスの準備運動らしい。夏フェスの運動量ってそんなにヤバいのかな。行ったことないからわかんないけど熱気は凄そう。


でもテンションが上がってるのはアキちゃんだけじゃないんだよね。


年に一度の行事だからか、学校中が浮き足立っている。


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