それはきっと、君に恋をする奇跡。

ピアス



「あーだりいっ!」


「文句言わないの」



あたしは今日、蒼と日直だった。


放課後残って教室を整理整頓するという作業に蒼は不満顔。


こういうの、真面目にやりそうなタイプじゃないもんね。


ダラダラと黒板を消す蒼に笑みをこぼしながら、あたしは机と椅子を整える。



クラスメイト達はすでに帰宅したあとで、教室にはあたしと蒼のふたりきり。


今日はいつも通りの蒼。



やっぱり……あたしの思い過ごしなのかな。


蒼に悩みなんて無縁な気がする。




整理整頓が終われば、仕上げの日誌書き。



「陽菜って、女子って感じの字を書くんだな」



シャーペンを走らせていると。


上から覗きこまれて、蒼の腕があたしの肩に触れた。
< 191 / 392 >

この作品をシェア

pagetop