御曹司様のことなんて絶対好きにならない！

8.

自分の気持ちを認めて、係長の心の深いところを知って、キスをして。
たくさん有りすぎて、その夜はよく眠れなかった。


今朝会った時、係長にどんな顔で会ったら良いんだろう？出勤中も考えていたらなんだか頭痛がして来た。

グリグリとこめかみを抑えてエレベーターを待っていたら、後ろからポンっと頭を叩かれた。

「どうした？具合悪い？」

最近聞き慣れた声に慌てて振り返ると、優しい笑顔で私を見つめる係長がいた。

「い、いえ。大丈夫です」

ここはエレベーターホールだ。誰が見てるか分からない。
俯いて、係長の手から逃げるようにそっと体をずらす。


自分でずらしたのに、係長の手の温もりが離れて寂しく感じるなんて勝手だな、私。


そんな私の気持ちなんてお見通しなんだろう。クスリと笑った係長は私のよこに立って一緒にエレベーターを待つ。