こじれた恋の終わらせ方
番外編2 最悪の朝と義理弟からの電話
目覚めると、見慣れない天井が目に入った。


一瞬、ここはどこかと不安になったがすぐさま昨日の夜のことを思い出し、思わず顔がにやけた。



好きだと自覚したのはもう何年も前なのに、仕事の都合でなかなか告白できなかった。


うちの会社は、本社で役職に就く場合、必ず地方に一度転勤になるのだ。


入社したての頃、世話になった上司が『お前は30までに一度地方に行くことになるぞ。』と言われた。それはつまり出世すると言われたのだと知った時は嬉しかった。


だが、過去に2回、遠距離はできないと振られた身としては、告白するのに怖気づく一つの要因となった。


まぁ、元カノに言わせれば、遠距離はできないと別れを告げられた時に、引き留めないことが問題なのだそうだ。



とにかく、自分の恋愛に不安を覚えた俺はそんなことを言い訳にしながら、ずっと彼女とは飲み友達として過ごしてきた。


それが、昨日やっと思いが通じたのだ。



正直、始まりとしては不甲斐無かった気もするが、今更そんなことはどうでもいい。


とにかく、やっと麗華と思いが通じたのだから!


笑いをかみしめている俺だったが、ふと部屋の違和感に気づく。




人の気配がしない。



シャワーでも浴びているのかと思ったが、それは違うように感じた。



床を見れば、落ちているのは俺の服のみ。


麗華の服が見当たらない。



ベットから起き上がった俺は、微かな希望を持ってバスルームへと向かったがやはりそこには誰もいなかった。



大丈夫だと自分に言い聞かせる。




気分を落ち着かせようと、ベットに腰を掛け、スマホを見て絶句した。




麗華の連絡先と履歴がスマホに何も残っていなかった。
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