もう一度出会えたら
今週は実家への帰省でうまく気分転換が出来たおかげで先週までのように悶々とすることなく、元気に過ごせていた。


開き直りといえばそうかもしれないけど…。


電車に乗り2駅目で降りた大翔の後ろをついて行くと登り階段の手前で振り返った大翔が手を出してきた。


「……なに?」


大翔を見上げて、その手を指差すと


『手だけど』


半分笑いながらそう言った大翔。いやいや、それは見たら分かるから。


「うん知ってる。この手の意味を聞いたの」


『ん〜迷子になったら困るから?』


なぜか少し考えてから疑問に疑問で返してきた。


「私、大人だから迷子にはならないよ。それにこの駅混雑もしてないしはぐれないでしょ…」


と笑顔で大翔の横を通り過ぎた。


『…チッ、失敗か』


「え…何か言った?」
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