私の王子様はあなただけ
クリスマスイヴ。私は、普段は来ることのないオリエントパークホテルにいた。ただし、母親と。そう、クリスマスイヴだというのに高級ホテルで母親とビュッフェ。


「クリスマスイヴ?仕事に決まってんだろ」


同棲中の彼氏、篤にさりげなくクリスマスイヴの話を振るとうっとおしそうに返ってきた言葉。そんな言い方しなくても。と思いつつ恋人とのクリスマスイヴは諦めるしかなかった。


「ねぇ、真琴。お母さん、オリエントパークホテルのビュッフェに行きたいのよ。どうせ、イヴは篤くん仕事でしょ?せっかくなんだし、二人で行きましょうよ」


そんなとき、掛かってきたお母さんから一本の電話。オリエントパークホテルはこの界隈でも人気の高級ホテル。


中でもクリスマスイヴには毎年、恋人たちのための特別なスイートルームが用意されるらしく、雑誌でも特集が組まれるくらい。


そんな夢のような場所、憧れないはずがない。とは言え、憧れは憧れにはすぎない。現実離れしすぎたお値段と場違いさは自分でもちゃんと分かってる。


だから、せめてビュッフェくらいはという思いと、恋人が仕事で一緒に過ごせない娘のための母親からのクリスマスプレゼントだと誘われ、行くことに決めた。
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