★★★★★
明日を抱きしめる
ある日突然、クラスメイトの唐沢隼人が消えた。
騒つく教室でただひとり無関心でいた僕に声をかけてきたのは唐沢の彼女、橘千歳だった。

『ねえ、私と一緒に、隼人を探しに行こうよ』


▫︎

前半は穏やかに時間が流れる。
小さな田舎町の風景は始終美しく丁寧に描かれていて、まさに〝書いている〟よりも〝描いている〟という表現がぴったりだと思いました。
一字一句、見逃してはならない。この物語は大切に大切に読まなければならない。そんな気持ちで、二人と同じ時間を共有するようにゆっくりと読み進めました。

しかし物語の半ば、ある一文からは、物語が急速に進み始め、次に次にとページをめくる手が止まりまらなかった。綺麗事で丸く収めたようなものじゃなく、まるで抱きしめるように優しく力強いラストには、私も勇気をもらいました。

明日を迎えるのがどうしようもなく嫌になってしまったとき、私はこの長い一日を思い出したい。
春瀬るき
17/08/04 19:24

>>新着レビュー一覧へ