キンダーガーテン    ~温かい居場所に~
恋する
そうして始まった新学期。

今日は、仕事始めだから…仕事が山積み。

二週間ぶりに先生の顔が見れるって…ドキドキしてたのに

忙しすぎて、チラッとしか見ることはなかったの。

あ~ん…残念。

淋しいなぁ~って思いながら…帰り支度をしていたら…

「先生…。」って呼ぶ声がした。

手招きされるまま、空き教室に行くと…

「はい!」ってニッコリ笑って、手のひらにのる小さな袋を渡された。

??……?………。

キョトンとしている私に

「おうちで開けてね。また、夜連絡する」って…



今日は、彩ちゃんが風邪気味だから…集まりは中止。

急いで帰って開けると…

中にはクローバーのお守りと手紙が…

"このお守りは、初詣に友達と行ったときに買いました。
身代り護りって書いてあったから、先生の不安を代わってくれたら良いなぁって思って…
一応オレのメールアドレスを書いておきます。
電話が出来ない時は、メールをしてください。"って…

先生の温かい気持ちにキュンとなっちゃった。

友達と会ってた時に、私のことを一瞬でも思い出してくれたのかなぁ?

………嬉しい!!

ドキドキするけど…

お礼が言いたいから、自分から電話をかけてみた。

「はいはい。先生!
先生からの電話って珍しいね。
ってか、初めてだよねぇ?いつもドキドキするってかけてくれないから。
オレが"何かしてたら"って…気になって掛けれないんでしょ?
それなのに、嬉しいよ。
お守り見た?あれ、他の四人には買ってないから内緒ね‼」

「あの…ありがとうございます。……大切にします!」

「うん!効果があると良いけどね。
まぁ~信じるものは救われるって言うから、使ってみてね。」

「はい。あの…ホントに嬉しいです。ありがとうございます。
あの…でも…先生に気にかけて頂いてから…淋しさも不安もなくなってて…
毎日幸せなんです。」

「それは良かった。そのお守り買うときに冷やかされて大変だったんだよ。
オレの頑張り分も神様が助けてくれるはずだから、使ってみてね。
あぁ!そう言えば先生…
四人にオレと電話していること、話して良いからね。
決心ついたし。」

「決心??
でも…嫌なんじゃあ…?」

「嫌って言うか、オレの気持ちが固まらないうちに色々言われるとね…。
もう大丈夫だよ。」

「??……そうなんですかぁ…?」

「先生は全く分かってないみたいだけどね。
それより、4月に新しく入る先生が来月から実習に来るって聞いた?」

「いいえ…まだ……
ええっ‼後輩が出来るんですか!」

「まぁ~そうなるねぇ。
先生が先輩に見られるかどうかは別だけど。もしかしたらまた
可愛いがってくれる人が増えたりして。」

相変わらず唯をからかって笑ってる。

この間唯のこと、先生らしいって言ってくれたのになぁ~。

「わぁ‼先輩になるんですね!」

「二人来るらしいよ。下が出来るのって嬉しい?」

「はい!もちろん。
お世話してあげたいです。"先輩"って呼ばれるのかなぁ?楽しみ!」

「一人は男の子だって言ってたよ。
新しい風をって…男の子になったみたいだよ。」

「えっ………………それは………………。」

「あれ?嬉しくないの?」って…

そりゃ~後輩が出来るのは嬉しいけど…男の子だよ!

ちょっと嫌だなぁ~。

って言うか…かなり嫌かな‼

「男の子は…苦手だから…。話すことも出来ないし…ちょっと怖いから…」

「そりゃそうだろう…オレだってまともに話してもらうのに、9カ月かかったんだから…。
でも…年下だったら大丈夫じゃない?」

「う~ん…。
怖いと言うか…苦手と言うか…。大きい人が近くに来るだけでも怖くて…」

「先生って女子校?」

「はい。でも…女子校でもみんな彼氏がいたから…」

「先生も彼氏がいたんだよね?お友達のような。」

「一年付き合った人がいました…
ただ"唯のは恋愛とは違う。オレのことを彼氏として見てない"って言われて…
お別れしたんです。」

「でも…一年も付き合ってたんだよね?
彼とは、手を繋いだりキスしたりしなかったの?」

「あぁ。…彼とは…バイトに一緒に行ったり帰りに公園で話したりはしてたけど…
デートに行ったことはなくて…
最後にお別れする日も…彼のキスを拒んで逃げて…
私が彼のことを理解しようとしてないって…。
四人に言わせると、彼氏じゃなくボーイフレンドだって…。
子供な唯が悪いって…すみません…よくわからないんです。
お別れしたホントの訳も…キスする意味も…。」

「はぁ。
それは…なんとも可愛そうな彼氏だなぁ~。
一年頑張ったのにねぇ~。」

大人の先生が聞いても、朋君のことを気の毒だと思うんだ。

やっぱり唯が悪かったんだね…。

「あの…
どうしたら…良かったんですかね?
ホントにわからないんです。
男の人って…やっぱり…難しくて苦手です。」

ホントに困って、思わず先生に愚痴っちゃった。

「先生は初めてがいっぱいで、オレだけのって楽しみもあるけど…。
こりゃあ…大変だぁ~。」

??……???……。

「ねぇ~。先生って…彼氏欲しくないの?
彼氏がいたら、今みたいな一人の時間が楽しく過ごせるのに…って思わない?」

「う~ん…。
彼氏は…。さっき話した人を、凄く傷つけてしまったから…
怖いなぁって…思って…。
ホントの恋が分かるまで作らないって決めたんです。」

「そっかぁ~。
でも…恋をしらない先生が、どうやってホントの恋を見つけるの?」

あっ‼そう言われたら…そうだよねぇ…。  

いつ、どれがホントの恋かなんて…

私には分からないかも。

言葉に詰まっていたら

「オレがホントの恋を、教えようか?」って…

ええっ‼先生が??どうして………????……。

えっと…

どう答たら良いんだろう……。

第一‼どうしてそんなに親切にしてくれるんだろう?

…………あぁ~ん。分かんないよう~……。

………………でも…。

この片思いがホントかどうか分かったら……恋が分かるかもしれない?

今まで沢山教えてもらった先生だから…

安心して、教えてもらえるかな?



「あの…
もしも本当にご迷惑でないのなら…お願いしても良いですか?
先生なら…誰より信じれるので…。
でも…ホントの恋って…簡単に見つかるものなんでしょうか?
先生にご迷惑をかけるのは、申し訳ないので…」  

「う~ん…。
まぁ~そう素直に信じてもらうと…申し訳ないけど…
大丈夫だよ。ゆっくり捜そう。
一緒に、本物の恋を見つけようね!」
 
「あっ!はい。よろしくお願いします。
あまり長く迷惑がかからないように、頑張ります!」 

先生の苦笑いは、見えなかったけど…私の幸せいっぱいの笑顔は…

鏡に映ってた。

先生と一緒に本物の恋を見つけて……

いつか彼氏が出来たら良いなぁ。
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