別れるための28日の蜜日
2月12日
今週はずっと会社が浮ついていた。なんか甘い匂いが漂ってたし、女の子達はウキウキしてた。
総務は圧倒的に女子比率が高いので、みんなでお金を集めて買ったチョコを男子社員に1つずつ渡すだけ。これが独身若手男子が多い営業とかなら毎年、ドラマが巻き起こるんだろうな。
巻き込まれたくはないけど、近くでワクワク見守れたら楽しいだろうなー。

「山内さんは彼氏さんには手作りですか?」

金曜日に五年後輩の舞ちゃんがピンクのオーラ全開で聞いてくる。クリスマス前に彼氏ができたって言ってたから、今は幸せいっぱいなんだろう。

「今年ってバレンタインが日曜日だから、当日はずっと一緒にいられるんですよねー」

音符が見えそうな程浮かれた言葉は眩しくて、思わず目を手でかざして隠したくなる。若いって凄いな。

日曜日でも仕事の人はいるんだよー。と心の中で返事をして、顔は曖昧に微笑んでおく。どうせ、彼女は私の返事が聞きたい訳じゃないし。


さっきの昼休み、珍しく律人におねだりのメールを送った。バレンタインなんだし、少しで良いから当日に会って欲しいって。
こんなメールを送ったのは、律人が転職して初めてかも。
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