CHEEKY X'MAS―愛しの生意気エイティーン―
「お待たせしました」
不意に、耳元といえるくらい近くで、柔らかなささやき声がした。
「もう、びっくりさせないで」
「驚きすぎです」
くつくつ笑う確信犯が憎らしい。
足音くらい立ててよね。
身のこなしが極端にしなやかで、まるで猫みたいな彼には、ときどきこうして驚かされる。
まあ、いいけど。
かわいいから。
「補習、お疲れさま。
この時期にデートなんかしてて、本当に大丈夫なの?」
「心配ご無用です。
第1志望の国立大、A判定しか取ったことがありませんから」
緩やかにウェーブした髪の長身の美少年が、あでやかに笑う。
彫りの深い顔立ちとダークグリーンの目が、どこかエキゾチックで。
ファッション誌を眺めるふりの女性たちが、チラチラと彼を気にしている。
「じゃあ、行こうか」
立ち読みしていた雑誌を手に、彼と隣り合ってレジの列に並んだ。