夢幻の騎士と片翼の王女
白亜の城(side 亜里沙)




目を閉じていても感じられていた眩い光が消え、私は、そっと、目を開けた。
目にはまださっきの光の残像が残ってて、何度か瞬きをした。



(……ここは……)



おかしなことに、私は森のような場所にいた。
どうして?さっき、私は、屋根裏にいたはず。
屋根裏で、あの小箱の螺子を巻いて…
私は自分の指を見た。
薬指には赤い宝石のついた指輪がさされている。
そう…やっぱり間違いない。
私は、小箱を開けて…そして、この指輪をみつけて…



問題は、屋根裏にいたはずなのに、どうして、今、森にいるか…だ。



(おっかしいなぁ……)



あれから眠ったような記憶はないけど…
今日は早起きしてここまで来て…うん、昨夜は4時間くらいしか寝てない。
別荘についたらすぐに屋根裏にあがってごそごそしてたし、スーパーまで買い物にも行ったし…
もしかして、私、自分が思ってる以上に疲れてたのかな?
それにしても、裸足でこんなところまで来てしまうなんて…私、大丈夫なのか!?



とにかく、別荘に戻ろう。
そう思って、私は森の中を歩き出した。
歩いているうちになにかがおかしいことに気が付いた。
この森には何度も来たことがあったはずなのに、なにか雰囲気が違う。
こんなに木々が密集してなかったと思うんだけど…



(でも……)



ここにはもう何年も来てない。
その間に、変わったのかもしれない。
不安な気持ちを打ち消すかのようにそう考えて、私は森の中を歩き続けた。


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