熱愛系エリートに捕まりました
番外編

♢伊集院 楓について

伊集院 楓は外交官を父に持ち、高校生になるまでヨーロッパで暮らしていた。


もともと彼女は愛らしいドーリーフェイスなので、向こうではレディーファーストが根付いているのもあり、周りの男子に可愛がられた。

実は、ただでさえ実年齢より若く見える日本人の中でも彼女は精神年齢も幼かったため、女性としてというよりも小さい子どもに接するようなものだったのだが、未だに楓本人はそれに気づいていない。

おかげで女性の友人はあまりできなかったが、そんなことは気にならなかった。


さらには、普段は仕事で忙しい父も、楓と4歳下の妹の椿には甘かった。

娘たちの教育を引き受ける母は何度も楓を嗜め、時には叱りもしたが、母以外に楓に厳しくする人間がいなかったので馬の耳に念仏で。


そうして、自分は可愛いからみんなにお姫様のように扱われて当然という、恐ろしく傲慢な考え方をするようになり。

半ば諦めつつ、なんとか矯正しようとした母の発案で、渋る父だけを残して楓が高校生になるタイミングで日本に戻ったのである。
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