恋の相手は…おじさん!?
優しさと裏切り
近くにいた同じクリニックの人達がなだめてくれた。
「大丈夫?泣きたい時は泣いていいよ。」
「そらちゃん、めっちゃ頑張ってたしな。
加藤さんにもっといいところみせたかったよなぁ」
そう励ましてくれた。
クリニックの人達の優しさが身にしみる。
でも、突然いなくなった衝撃は結構大きくて
やっと加藤さんに心開けた所なのになんで…なんで…居なくなるの…どこにいるの…。まだ、教えてほしいこと沢山あるのに…。
悔いばかり残る。
何とも言えない悔しさだけが募っていく。
すると1人の方がこの空気を変えるかのように
「みんな、今日は思いっきり泣け。俺も泣きたい、何も考えずに泣け。恥ずかしさとか訳とか考えずに泣いてしまえ。そして、明日からまた頑張ろう。加藤さんが消えてからクリニックが通常運転できなければ、加藤さんに見せる顔ないだろ?加藤さんの為にも今日は思いっきり泣いて、感情の全てをだしきれ。今日だけだ!」
そうセリフを放った。
あれから、みんなが泣き叫んだ。そして、また誰かが、加藤さんの部屋…訪れたい。
と言ったので、
加藤さんが住んでた隣の部屋をクリニックの皆さんと一緒に覗きに行った。
が時は既に遅し…で、もぬけの殻だった。加藤さんの姿はもちろん、加藤さんの私物も何もかもなかった。
その日、私はクリニックに戻らず、部屋に閉じこもったみたいだ。
クリニックの皆さんも気を遣ってか
今日はゆっくり休んでいいよ。
と言ってくれた。
「まだ、若いしショックでかいんだろ。精神が、安定するまで休みな。」
「そうそう、明日からもこなくなるのは嫌だから今のうちに休んどきな」
そう言ってくれた。
その優しさは分かってたはずなのに、私はクリニックの人達を裏切った。
そう、いつになってもクリニックに戻ることができなかった。
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