魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
4.復元は全てを捨てる

大切の導き人






* *





今日は、満月だった。


瞼が徐々に大きく開いていく。


目をいっぱいまで見開いて、そうして瞬く。



そうだ、今日は満月。


私がアサヒに許された日。



『僕のことだけ考えていて』


いつの頃からか、彼は——



私がこうなることを想定していたのだろうか。


そうして私に、余計なことは考えるなと牽制を与えていたのだろうか。


そうなら彼は本当に、私のことしか考えていない。


同様に私も、アサヒのことしか考えていない。



頭はいっぱいいっぱいで。


ただ、望んだのはアサヒの側にいられたらいいと。


だけど引き裂かれた現実は私が手を伸ばしたものではない。



…——なら私は、どうしたい?


簡単なこと。


もう何も考える必要など、なかったというのに。


ねえ、そうでしょう?



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