冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
シャルヴェの帰還
「リリアーヌさま、少しお休みください」


ガエルが盛んにそう言ってくれる。
これで何度目だろう。


二日間、寝る時間も惜しんで働き通しだったから仕方がないとはいえ、それは他の従者たちも同じ。
私の意見に賛同してくれた皆は、必死に食料の下ごしらえと大広間の準備をしてくれた。

私もさすがに疲れていた。でも……。


「大丈夫。兵は寝ていないわ」


シャルヴェさまは、今、この瞬間も戦っている。


「それはそうですが……」


パンの他にも、コールが集めてきた野菜を日持ちがするようにと塩漬けにしたり、肉をいぶしたりもした。


「リリアーヌさま。医者の手配は終わりました。薬草は今、集めさせています」

「ありがとう、バスチュー」


誰もが皆、政治なんてなにもわからない私の指示に耳を傾け、その通りにしてくれた。
私と同じように、シャルヴェさまがユノヘスを守ると信じているのだ。
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