冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
初めての夜
その日は、傷ついた兵士たちに声をかけるために、シャルヴェさま自ら大広間に赴いた。
すると、誰もが驚き、目を丸くしている。


「私たちのような者にまでお声かけいただけるなんて……もう、死んでもいい」

「なにを申す。これからもユノヘスの英雄であり続けてくれ」


シャルヴェさまがそう言うと、ケガをしているにも係わらず深く頭を下げた兵士は、顔をクシャクシャにして泣いていた。

大広間には重症者もいて、シャルヴェさまは顔をしかめる。


「本当にすまない。回復を祈っている」


まともに返事のできない兵士にも声をかけ、働き通しの医者をねぎらうと、私たちは大広間をあとにした。


「リリアーヌ」

「はい」

「お前のおかけで、大切なことに気づいたよ」


大切なことって？

私が首を傾げると、彼は続ける。
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