冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
冷酷王太子との対面
「頑張りすぎたかしら」


必死に馬を走らせると、二時間かかると言われていたユノヘスの王宮にたどり着いたのは、一時間と少し超えたところだった。

私は目の前の王宮が見えないほどの高い塀と、頑丈そうな門に唖然としていた。
これはおそらく、敵の襲撃から王宮を守るためだろう。


「バスチューさま」


すぐに門番が飛んできて、バスチューに駆け寄る。


「私はいい。サノワ国のリリアーヌさまだ。門を開けすぐに王太子さまにお伝えしろ」

「はいっ」


門番は馬にまたがり、しかもひどい身なりをしている私に首を傾げつつも、要件を伝えるために走り去った。


「よく走ってくれたわね。ありがとう」


ここまで必死に走ってきてくれた馬に声をかけてから下りると、すぐさまバスチューに駆け寄り傷の具合を確認する。

そのうしろではギギーッと音を立てて門が開く音がした。
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