冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
王太子の意外な優しさ
「ん……」


次に目覚めたのは、王宮の自分のベッドの上だった。


「リリアーヌさま! あぁっ、よかった……」


コールが涙目でそう言うのを聞き、火事の現場で王太子さまに助けられたことを思い出した。

私はすぐに『男の子は?』と聞こうとして口を動かしたのに、ひどい痛みに襲われて声が出ない。
すると……。


「すぐに王太子さまをお呼びします」


コールは涙を拭きながら、あっという間に出ていってしまった。

それからどれくらい経ったのだろう。
ノックもなく王太子さまが入ってきた。


「リリアーヌ、痛むか?」


『はい、少し……』と言いたいのに、声が出ず、小さくうなずく。
喉と右足がジンジンする。


「医者に診せたところ、熱い空気を吸い込んだせいで喉がやられている。しばらくは話せないかもしれないが、じきによくなる。足は……少し跡が残るかもしれない。すまない」
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