冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
束の間の甘いひととき
私がようやく起き上がれるようになったのは、それから三日後のことだった。

その間、昼間はコールが身の回りの世話をしてくれて、王太子さまも何度も様子を見に来てくれた。
そのおかげでなにひとつとして困ることはない。


「リリアーヌ。少し外の空気を吸うか?」

「はい」


夕暮れ時になって部屋まで来てくれた王太子さまは、ずっとベッドでの生活をしている私を気遣ってか、そう提案した。

大きな窓の外の広いベランダは、外の空気に触れるのには最適な場所だ。

彼はまだ機敏には動けない私を抱き上げ、ベランダに向かった。

足が痛み、立っていることが難しい私を椅子に座らせるのかと思いきや、まずは彼自身が座り、膝の上に私を横向きにして乗せる。


「あっ、あの……王太子さま。重いですから、あちらのイスに……」


私がそう提案しても彼は首を振る。
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