甘い媚薬はPoison
1、媚薬であなたを手に入れる
『愛梨、これをお前にやろう』
そう言って祖父は少し屈むと、綺麗な香水の瓶を小さな私に差し出す。
『何の匂いがするの?』
香水を受け取ると、私は祖父を見上げた。
『薔薇のいい匂いがするんだ。媚薬の成分が入った特別な香水でな』
祖父がニコニコ顔で自慢気に話すが、私は意味がわからずキョトンと首を傾げる。
『びやく……?』
『まあ……それを使うとどんな男の子も……愛梨を好きになるんだ』
祖父は頬をポリポリかくと、今度は言葉を選びながら私にわかるように説明してくれた。
『うわあ、魔法みたいだね、おじいちゃん』
パッと花が開くように私は祖父に向かって無邪気に微笑む。
『そうだ。だから、使う時はくれぐれも気を付けなさい。愛梨が大人になって好きな男が出来たら使うんだ』
祖父は私にウィンクした。
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