君が嫌いな君が好き
バタンとドアが閉まった瞬間、
「マジかよ…」

私は思わず呟いた。

酔っ払った勢いでケンカをして、その勢いで一夜を過ごした相手がまさか目の前に現れるなんて…。

「何だ、このゲーム的展開は…」

よく使わせてもらっているこの展開を、まさか自分が経験することになるとは…。

しかも、社長って何だよ。

新たな嫌がらせですか、これは。

「仕事だ、これも仕事だ。

相手は仕事先の社長だ、うん」

もう一夜を過ごしたことは忘れるんだ。

相手も仕事相手として私を見ているんだから、私も仕事相手として相手を見ればいいだけの話だ。

自分に何度も言い聞かせると、私もその場を後にした。
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