君が嫌いな君が好き
会場を出ると、久米が私の方に振り返った。

「お話って何ですか?」

本当はわかっているけれど、知らないふりをした。

久米は少しだけ目を伏せると、
「実は…」
と、話を切り出した。

ああ、そろそろだな。

そう思いながら続きを待っていたら、
「俺と結婚を前提につきあって欲しいんだ」

久米が続きを言った。

「…はっ?」

続きを言われた私は訳がわからなかった。

何それ、どう言うこと?

と言うか、“結婚を前提につきあって欲しい”って何なの?

「えっと、ジョーダンですよね…?」

そうだ、これはジョーダンだ。

久米が訳がわからないジョーダンを言って、私をからかおうとしているんだ。
< 55 / 65 >

この作品をシェア

pagetop