溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
番外編①副社長室でナイショの……


頬杖を突き、人差し指でデスクをトントントンと叩く。
どこを見ているわけでもない。
宙のある一点をじっと見つめたまま、ついさっき耳に入ったことを思い返していた。

美緒奈がホテル勤務から企画部へと戻って一ヶ月。
恐れていたことがとうとう起こったかというのが、正直なところだ。

いつかこうなるだろうと思ってはいたが、実際に耳に入ってくると冷静ではいられない。

そのときふと、副社長室のドアがノックされ、秘書の柳川さんが入ってきた。


「副社長、コーヒーをお持ちしました」


にこやかな笑みを浮かべ、俺のデスクにカップを置く。


「ありがとう」


見れば、それはいつものブラックではなく、ミルク入りらしき色をしている。
不思議に思いながら彼女を見上げる。


「なんだか元気がないように見受けられたので、甘いほうがよろしいかと思いまして」


秘書にまで気を遣わせてしまうほど、露骨に態度に出ていたのか。
彼女は多分、“元気がないように”ではなく、“不機嫌そうに”と言いたかったのだろう。

< 237 / 255 >

この作品をシェア

pagetop