癒しの田中さんとカフェのまみちゃん
カフェの常連、癒しの田中さんと井口先生
私が早番で出勤するとカフェには、
いつも、ボサボサ頭で黒縁の眼鏡をかけて、
やや猫背気味で作業ジャンパーを着た男の人がいる。

年齢は不詳なのだが、身長は180㎝近くあるんじゃないだろうか。
まぁ、姿勢があまりよくないので、はっきりしたことはわからない。
黒縁めがねの向こうには優しそうな瞳。
ボサボサ頭をなんとかして、
もっと姿勢を正してきちんとした格好をすれば
結構いい男なんじゃないかって思う。

マスターの話ではこのB.C. square Tokyoの管理室にいる方で
「癒しの田中さん」という愛称がついているらしい。
確かに、憎めない感じはする。
マスターからは空調の件とかいろいろ相談に乗ってもらって
お世話になっている方だから、応対は丁寧にねと言われている。

「おはようございます。」

「おはよう、まみちゃん。いつものね。」

田中さんのいう『いつもの』は
ブレンドのMサイズのことだ。
店が混雑しているときは受け渡し口でコーヒーをお渡しするのだが、
スタッフの人数が少なく、
まだ店も混雑していないこの時間帯は注文口でお渡しする。

「田中さん、お待たせしました。お熱いのでお気をつけて。」

そういってお渡しすると、

「いつも、ありがとね。」

とにっこりする。

その笑顔は本当に癒される。
なんか、田中さんの笑顔って心が温かくなる感じなんだよね。
なんだかよくわからない不思議な感じの人だ。
< 5 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop