幾久しく、君を想って。
何事にも勇気が要る
「俺が離婚をしたのは四年前です。相手は仕事を持つキャリアウーマンで、いつか自分の会社を作るのが夢だと語っていました」


起業意識が高くて強気な女性だったと漏らす。
私とは違うタイプだな…と、比較しながら聞いていた。


「俺は彼女の夢の話を聞くのが好きだった。キラキラと目を輝かせている妻は本当に綺麗でした」


別れた後も妻だと言えるんだ。
私はあの人を夫だと言えるだろうか。


「結婚してからの数年間は穏やかでした。俺も彼女も若かったし、余裕があると言うか、焦りなんてものは感じなかった。
でもある日、起業家志望の人達を集めたセミナーに彼女が参加し始めて、そこから家庭が変化していきました」


別れた奥さんは、そのセミナーに頻繁に通いだすようになったらしい。
行く度に刺激になると言い、その世界にどんどんのめり込んでいってしまった。


「自分の仕事を休んでまでセミナーに通いだして、行くなと止めるのに言うことも聞かなくなりました。時には夜遅く帰ることも重なって、俺は彼女が心配で堪らなかった」


帰って来ない相手を待つ辛さは身に染みて分かる。
そうですか…と言いながら、ぎゅっと掌を握った。


「通い続ける彼女を心配しながらも半分は疑うようになりました。俺の目の届かないところで、不倫でもしてるんじゃないかと思って。
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