イケメンエリート軍団の籠の中
エリートの感覚についていけません



夕方になると、舞衣は、玄関やカウンターの拭き掃除をした。

ずっとパソコンと向き合っていたため、体がガチガチになっている。
今までやってきたバイトは体を動かす仕事が多かったため、こうやって拭き掃除や掃き掃除をしている方が性に合うし気が楽だった。


「マイマイ、ただいま~~」


5時が回った頃、ジャスティン達が帰って来た。


「おかえりなさい、お疲れ様でした」



「舞衣ちゃん、何やってるの?」


一番最後に入って来たトオルが、目を丸くして舞衣にそう聞いた。


「あ、はい。
ちょっと埃がたまってる所があったので、拭いてました」


トオルは舞衣が話している途中からずっと首を横に振っている。


「舞衣ちゃん……
それは舞衣ちゃんの仕事じゃないよ。
それは、清掃会社の人達の仕事だ。

僕達、EOCの人間は、そんなことしなくていい。
というか、そんなことよりもっと大切な仕事があるだろ?」


トオルは優しい口調だが、でも厳しく舞衣にそう言った。


「舞衣ちゃんが今までどういう所で働いてきたかは僕は知らないけど、今までの価値観は全部捨てる事。
EOCの人間だという誇りを持って、自分のスキルを上げて会社に貢献する。

それはこういう掃除とかじゃないんだ。

僕達は世界を相手に仕事をしている。それを常に忘れないで」




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