愛しの残念眼鏡王子
魅力的な人だから
あれから向かった先は、あの河川敷。

予感は見事に的中し、芝生の上で専務は体操座りをし、顔を伏せ身体を小さく丸めていた。

小柄な彼が、ますます小柄に見えてしまう。


呼吸を整え、一歩、また一歩と私の存在に気づいていない専務の元へ歩みを進めていく。

そして彼の隣に腰を下ろすと、やっと専務は私の存在に気づき顔を上げギョッとした。


「え! どうして香川さんがここにっ……!?」

いつもの如く慌てふためく専務だけど、彼の瞳は赤く染まっていて胸が痛くなる。


やっぱり彼は泣いていたんだ。

ここでひとりで――。

こんな姿を見せられてしまったら、思いは溢れて止まらなかった。


「専務の背中が泣いていたからです。……だから追い掛けてきました」


専務の瞳を捉え、真っ直ぐ見つめたまま伝える。

すると彼は大きく瞳を揺らした後、唇を噛みしめ無理に笑顔を取り繕った。
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