愛しの残念眼鏡王子
私だけの、たったひとりのヒーローになってください
「光希ちゃん、今日社長の家でみんなと飲み会やるんだけど、光希ちゃんもどうかな?」


この週の最終日である金曜日。

終業時間が近づいた頃、松田さんは私の様子を窺いながら聞いてきた。

そんな彼女にパソコンキーを打つ手を休め、顔を向けた。


「すみません、今日はちょっと……」

やんわりお断りすると、あからさまに松田さんはがっかりした。

けれどすぐに表情を作り、明るく振る舞った。


「そっか、分かったわ。……でも遅くまで飲み明かしているだろうから、もし気が向いたら連絡ちょうだいね」

「ありがとうございます」


嫌でも感じてしまう。

松田さんが私に気を遣っているって。


今週始めの月曜日。

思わぬ形で専務の過去を聞いてしまった。


私と専務に聞かれているとは思わず話していた、松田さんを始め社員のみんなは、去っていった私たちの帰りを心配して待ってくれていた。


勤務中にも関わらず飛び出してしまった私と専務。
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