愛しの残念眼鏡王子
けれどふたりとも泣き腫らした顔で戻ったものだから、みんなはなにかあったと察知したようで、社長からもお咎めナシだった。


それから今日まで、みんなは驚くほど私と専務に気遣ってくれた。

いつものようにからかうことはなく、話す時もどこか、よそよそしい。


あの話を私に聞かれたのが、まずいと思っているのかもしれない。

もしかしたら松田さんやみんなには、私の専務に対する気持ちがバレていたのかも。


専務とも、あの日を境に気まずいまま。

挨拶をしても、話をしてもお互いぎこちないのが、伝わってくる。

専務のそばにいられれば、それだけで幸せだったのに。


今はそばにいるだけで辛い。

専務が私の前で笑うだけで、無理させているように見えてしまい泣きたくなる。


後悔してばかりだった。

どうして私、あんなこと言っちゃったんだろうって。


小野寺さんが、がっかりしちゃうとか、今のままの専務じゃ誰も好きなってくれないとか……。

感情の赴くまま言ってしまった。

その結果、彼を傷つけてしまったはず。
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