さすがに診察室までついていくわけにはいかないから、私は雑誌でも読んで診察が終わるのを待つことにした。

 産婦人科らしく妊婦さん向けの雑誌や子育て雑誌が目立ったけど、ファッション雑誌なんかもあって時間を潰すのに困りはしなさそう。

 でも、せっかくだからと産婦人科らしい冊子を手に取った。

 子宮がん検診。

 二十歳からっていうポスターが気になってた。
 私もあと三年で二十歳だし、もうがんの心配をしなきゃいけない年齢になるのかな。
 がん検診なんて、もっとおじさんおばさんが受けるものだと思ってたのに、違うんだ。

 表紙を開いて、読んでみる。

 二十歳から検診があるのは、子宮けいっていうところのがんらしい。

 このがんになると子宮を全部摘出することがほとんどで、子宮がなくなるから妊娠は一切出来なくなる。
 しかもそれだけじゃなくて、排尿とか他の場所にも影響があってその後の日常生活に大きな爪跡を残すという。

 身近でがんになった人がいないからよくわからないけど、やっぱりがんって大変な病気なんだ。
 もちろん、発見が遅くなればそれだけ死亡率も上がる。

 子宮けいがんはがんになる前に見つけることが出来るらしい。
 だから、二十歳を過ぎたら二年に一度の定期検査が進められている。
 発見が早ければそれだけ生存率が上がるし、子宮を残したまま完治することもできる。
 そしたら、赤ちゃんだって産めるんだ。

 子宮けいがんはHPVっていうウイルスが長いこと感染すると発症するがんだって言われていて、そのウイルス感染は性行為で起こるらしい。
 十代から性行為をしていたり、いろんな人とセックスしていたりすると、リスクが上がるみたい。
 もちろん、結婚してから旦那さんとしか性行為をしていなくてもなるときはなる。

 エイズとか、セックスで感染する病気があるのは知っていた。
 一生治らなかったり、それで死んでしまうようなこともあるって。
 でも、セックスでがんになるなんて知らなかった。

 性行為感染症は、コンドームでも完全には防げない。
 どんな避妊方法でも妊娠する可能性が常にあるように、病気になるリスクもゼロにはならない。

 他の病気は知らないけど、この子宮けいがんは十代からからセックスしてるとリスクが上がるって書いてある。
 啓子や千奈美は大丈夫なのかな?
 もうセックスしたっていう、クラスメイトのことも心配になった。

 子宮けいがんの原因になるウイルスの感染を抑えるワクチンもあるって書いてあったけど、感染してたら効果はないし、感染してなくても原因ウイルスの半分ぐらいにしか効果がないらしい。
 結局、ワクチンを打ってない人と同じように定期検査はしなくちゃいけないし、百パーセント大丈夫なんてどこにもない。

 細いヘラやブラシみたいなのを膣に入れて、撫でるみたいに細胞を取って検査をする。
 ほとんど痛みも出血もないって書いてあるけど、私はタンポンも使わないし二十歳になったとき私はちゃんと検査を受ける勇気を持てるかな。

 怖いなぁ。
 セックスって、怖いなぁ。

 私も本当にそんな日が来るのかな?

 この人と結ばれるなら死んでもいいって思えるぐらい人を好きになれる日が来るのかな。