「……佐丸?」

 桜子は薄暗い自分の部屋で目を覚ました。

 佐丸はもう起きて、こちらを見ていた。

 いつもなら、佐丸に見つめられると、

 叱られるかもっ。
 怖いっ、と身構えてしまうのだが、今日はそんなことはなかった。

 佐丸、と彼の方を向き、呼びかける。

「夢を見てたわ」

「どんな…?」
と佐丸がやさしく訊いてくる。

 そんな声も出せたのかと二十年以上一緒に居て、初めて知った。

「幼稚園でね。
 今の姿のまま、みんなで遊んでるの」
と言うと、それは嫌だな……と佐丸は想像してみたらしく、眉をひそめる。

「京ちゃんが仮面ライダーで、お兄ちゃんが怪人で、佐丸が秘書なの」

「なんで、そこだけリアルだ……」

 っていうか、俺は怪人の秘書なのか?
 仮面ライダーの秘書なのか? と訊いてくる。

 いや、そんなことは知らないが、ともかく、秘書なのだ。

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