しかし、本当にそろそろなんとかしなければ、と思いながら、桜子は、また下に降りていた。

 昔から、考え事をすると、ウロウロしてしまう。

 テストのときも、屋敷中をウロウロしていて、兄に、
『ほんとに勉強してんのか、お前』
と言われたものだ。

 そうだ。
 佐丸が居ないこの隙に、ちょっと電話もしておかねば、と桜子はiPhoneを取り出す。

 だが、不用意にかけたら、殴られそうな相手だ。

 かと言って、メールやなにかで送るのも、証拠が残るから嫌だなあ、と思ったとき、紺のビル管理会社の制服を着た男に出会った。

「あれっ、田中さんが外に居る」
と桜子は笑って走り寄る。

「居るよ」
と苦笑いして男は言った。

 田中は四十半ばくらいのビル管理会社の人間だ。

 笑うと実に感じがいいので、『癒しの田中さん』と呼ばれているようだった。

 今は空調を見て回っているらしいが、田中の仕事は管理室で電話を受けたりするのがメインのようで、ほとんど、管理室に居るらしい。

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