「あー、これこれ。
 五臓六腑に染み渡るわー」
と言いながら、桜子はダイニングテーブルで、佐丸の作ってくれたお味噌汁を飲みながら、言った。

 いや、本当に、身体の隅々まで、お味噌汁の味と温かさが染み渡って行く感じがする。

「俺はお前は会社作ったりするより、料理教室にでも通った方がいいと思うんだがな」
と言う佐丸に、

「佐丸が教えてくれればいいんじゃない?」
と言うと、

「嫌だ。
 呑み込みが悪くてイライラしそうだから」
と遠慮なく言ってくる。

 ……佐丸の嫌味の方が骨の髄まで染み渡るな、と思っていた。

 少し醤油が隠し味に入っている甘い卵焼きに、こんがり程よい焼き色のついた子持ちししゃも。

 子持ちししゃものあの独特の癖のある匂いが好きだ。

 それと、瀬戸内から取り寄せた味付け海苔と納豆。

 お茶はさっぱりした、かりがね茶だ。

 最高だ。

 いや……ひとつ、足りないものがあるな、と思った。

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