‐部恋。 Round 02‐

-Story.6



『…彩さんっ!久しぶり!』


勇介はためらうことなく、
その“彩さん“という女の人に
駆け寄った。


嬉しそうな勇介の笑顔は
どこか照れくさそうだった。


さっきまであんな近くにいたのに
この小さな距離が今は
すごく寂しい。


「もうすぐシンも
 追いついてくると
 思うんだけど…。」


女の人はそう言って、
あたりを見回す。


『あっれー!勇介じゃん!』


駆け足でやってきたのは男の人。
彼もまた勇介の知り合いらしい。


『シン兄も久しぶり!』


勇介は嬉しそうにその人の元へ。


現れた“シン兄”と
呼ばれる男の人は、
勇介と親しげに話している。


勇介、お兄ちゃんは
いなかったはず…?


そんなことを考えていると、
“彩さん”は振り返って
微笑みかけた。


「勇介くんから少し聞いてたよ。
 愛奈ちゃん、だよね?」


「あ…、はい!」


正面に立たれて気づいた。

この人………、
ものすっごい美人!!


「勇介くん、
 一生恋なんてしないかと
 シンと心配してたけど、
 安心した。
 勇介くんをよろしくね。」


「あ…、はい。」


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