おいしい話には裏がある
お仕事も終わり、新たな出会いです。
クラブでの一件から、早くも2週間。

毎日毎日、何か言いたげなあーくん達と朝晩食事をしています。

まぁ、朝はいないことの方が多いけど、夕御飯は三人とも一緒です。

理一くんの腰も落ち着き、ケガも順調に回復していて、もう私の介助は必要ないかなと思うんだけど。

それに、そろそろ絵に没頭したい。

誘われてる作品展があるから、それに出す絵に集中したいんだよね。

今は夕御飯の時間。

理一くんにあとで言ってみようかな。

『あっ、忘れてた。梗くん!』

「なぁに?」

お口をモゴモゴさせながら、私を見てる。

ん~~~。可愛い!

抱きつきそうになるのを我慢して、梗くんの前に正方形の箱を出す。

『私、陶芸を友達に時々させてもらってるの。梗くんのお茶碗作ってみたんだ。貰ってくれる?』

「うわぁ!おねぇちゃんの手作り?すごーいっ!ありがとう!パパ、見てよ!上手だねぇ。」

箱からすぐに取り出して、嬉しそうに理一くんに見せてる。

「よかったなぁ、桔梗。実はパパのこのお茶碗も、雪杏作だぞ!湯のみもな。いいだろ?」

なぜ、最後はあーくんに向かって言うの、理一くん…。

「まぁ、オレと朔もだけどな。」

岳くん…あなたも何故あーくんと炎、昴に言うのよ。

あーくんは無表情。

炎、昴は悔しそう?

えっ。なぜ?

「いいなぁ。おねぇちゃん、ボクもコップ作ってよ。」

私の洋服の袖を引っ張りながら、上目遣いでみてくる梗くん。
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